HEARTS/Double Bside

HEARTS
Double

Singalong

2016,07,09
The Zombies
「She’s Not There」

 

1962年、ロンドン郊外にあるセントアルバーンズにて結成されたロックバンドThe Zombies。
学生時代の同級生を主に結成されたThe Zombiesは1964年に「イヴニング・ニュース」紙主催のハートビートコンテストで見事優勝し、それがきっかけになりレコードデビューを果たします。

今回紹介する曲は彼らのデビュー曲でもあるShe's Not Thereです。

 

  

発表から50年経った今聴いても色褪せない、オシャレなサウンドが本当に素晴らしい。

数年前にシャネルのコマーシャルで使用されていたことがきっかけで知ったこの曲は、美しく透明感のあるコリン・ブランストーンの歌声や演奏が素晴らしく、一度聴いたらしばらく耳に残りクセになります・・・

The Zombies のサウンドはキーボードのロッド・アージェントとベースのクリス・ホワイトによってほとんど作られていましたが、JAZZのエッセンスを含んだサウンドの独自性は、もともとロッド・アージェントがクラッシックやジャズのファンであったことも大きく起因しているようです。

今回紹介した「She's Not There」も、曲作りをはじめて間もないロッド・アージェントが書いた曲で、バンドにとって2作目のオリジナル曲だというから驚きのセンスです。

当時ビートルズを凌ぐ才能と評価されたThe Zombies。
1stシングルとして発表された「She's Not There」がヒットし、*第一次ブリティシュ・インヴェイジョンの波にのったバンドはアメリカ進出。
2ndアルバム『Odessey&Oracle』の制作にはTHE BEATLESのエンジニアとしても有名だったジェフ・エメリックを起用します。
アビーロードスタジオで録音、*メロトロンを大幅に導入するなど意欲的に制作しますが、制作途中にバンド内の人間関係は悪化。残念ながらアルバム完成と同時にバンドは結成からわずか6年という短さで解散してしまいました。

のちに『Odessey&Oracle』はThe Beach Boysの『PetSounds』”やThe Beatlesの『SGT.Pepper’s Lonely Hearts Club Band』と並んで60年代を代表するアルバムとして評価されますが、当時CBSのプロデューサーだったアル・クーパーの進言によりシングルカットで発売した「Time of the Season」が奇しくも大ヒット。

バンドはすでに解散しているため、偽物Zombiesが現れてツアーをしたり、テレビ出演したりと、今では考えられないことも起きていたようです。この曲も同じくシャネルのCMで起用されていて、ため息と共にはじまる冒頭部分とボーカルの甘い声がマッチしていてとても印象的でした。

The Zombiesさん(@thezombiesofficial)が投稿した写真 - 2015 11月 12 11:36午前 PST

 

THE ZOMBIESというバンド名。
一体どんなバンドなんだ!? なぜゾンビーズ!? やっぱりゾンビ系!? と色々想像してしまいがちですが、「誰とも被らない名前にしたかった、覚えやすい名前にしたかった」とかなんとか・・・かなり単純な理由からつけられたそうです。
それにしても他にまだ良い名前があったのでは??と一瞬頭をよぎったのは私だけではないはず。

 

そして追述すべきは彼らのファッション。

おぼっちゃまファッションと評されることもある彼らのスタイルは、短めの前髪やマッシュラインのショート、太いフレームのメガネに、深編みのニットやツィードのジャケットを合わせたり、ハンチング、トレンチコート、サイドゴアのショートブーツの組み合わせetc・・・と、いま見ても定番のオシャレアイテムばかり。

音楽もさることながら、長く愛されている理由がここにもあります。

一度は解散したThe Zombiesでしたが前出のエピソードに触発されてか、なんと2度も再結成を繰り返すまさしくゾンビのようなバンドThe Zombies。

結成から50年たった今後の活動も気になります。

 

注)ブリティッシュ・インヴェイジョン:ある一時期に集中してイギリスのアーティストがアメリカをはじめとする世界中でヒットし音楽業界に大きな影響を与えた現象
注)メロトロン:テープ音源のオルガン

 

written by Double 内田由美