HEARTS/Double Bside

HEARTS
Double

Singalong

2016,12,03
The Jackson 5
I Want You Back

70年代初頭からその存在が定義され始め、日本でも人気のあった「ボーイ・バンド」。

今では、その名もすっかり聞かなくなってしまいましたが、「ボーイ・バンド」とは、イギリスやアメリカの10代から20代の若い男性歌手でできたグループのことをそう呼んでいました。
音楽性や、その嗜好は異なりますが、日本でいうとジャニーズのような形が、近いように思います。

その当時の私達世代といえば、沖縄出身のフィンガー5に夢中。(5名のうち1名は女子でしたが)
ちょっとお姉さんになると全身チェックできめたイギリス出身のグループ、ベイシティローラーズに皆のめり込んでいました。

最近では、アメリカのバックストリート・ボーイズだったり、日本だと嵐(?)だったり・・・
どれをとってみてもなぜか5人組。なぜみんな5人組なの?
と、この謎も、もしかしたらこの人達の活躍があったからこそ、そこにあやかろうという意識の現れがあったのかもしれません。

 

 

『 ジャクソン5 』

 

兄弟5人で結成されたジャクソン5は、1962年にその活動を開始します。
初めはジャクソン家のジャッキー、ティト、ジャーメインの3名と、血縁関係のない2名とで構成された計5名のグループでしたが、その1年後、ジャクソン家からマーロンとマイケルが加わり正真正銘の兄弟グループ「ジャクソン5」が誕生します。

そう、このマイケルこそが、のちに「 キング・オブ・ポップ」と呼ばれたマイケル・ジャクソンなのです。

 

ジャクソン5の存在を知ったのは、マイケル・ジャクソンあってのことでした。
寮生活をしていた高校時代、電化製品の持ち込みが禁止されていました。寮に持ち込んでOKだったものはウォークマンと電池式のラジカセのみ。
寮内にテレビは1台だけで、いつでも自由に好きな番組を見ることは許されていなかったものの、寮生みんなで食い入る様に見た放送が一つだけありました。

それが第26回グラミー賞。

異例の8部門受賞となったマイケル・ジャクソンの『 スリラー 』。授賞式のマイケルを見るために狭いテレビ室でギュウギュウになりながら大勢で見たことを今でも覚えています。

今ではYouTubeで簡単にMVを見ることができたり、ネットで大抵のことが調べることができますが、当時は、そのアーティストについて何か知りたい!と思った時のツールと言えば音楽雑誌くらいのもの。
動いているマイケルやあの有名なPV(プロモーションビデオの略。今はミュージックビデオ・MVって言うのですね。)を見たのはこの時が初めてでした。
その後、音楽雑誌をむさぼるように読んで、ジャクソン5の存在を知り、彼が「ただのダンスがうまい黒人シンガーではない」そして、「幼少期にも輝かしい歴史がある」ということを知ったのでした。

 

 

60年代初頭から地元のインディアナ州ゲイリーで活動を始めたジャクソン5。
地元のレーベルからシングルを2枚発表するなどして、キャリアをスタートさせます。

1967年8月13日、ニューヨークのハレーム地区にあるアポロシアターのアマチュアナイトで優勝。
モータウンレコードのアーティスト、グラディス・ナイトは彼らに注目し、社長に彼らを推薦するも、当時10代だったスティービー・ワンダーとも契約をしていたモータウンは、未成年を2組抱えるリスクを恐れこの時は契約するまで至りませんでした。

ですが、翌年の68年の7月。
再度オーディションを受け、無事モータウンと契約。
5人の少年達は、念入りな教育と音楽的なレッスンを受けた1年後の1969年に「 I Want You Back 」でメジャーデビューし、アメリカビルボードのポップ・チャートで4曲連続1位を獲得。黒人アイドルグループとしては、初めて白人にも受け入れられるまで成長します。

グループの要はなんと言ってもリード・ヴォーカルであるマイケルの存在。
ダンスもさることながら、歌の素晴らしさはグループいち。特に変声期を迎える前の透き通った彼のボーイ・ソプラノは圧巻です。    

安定感のあるあの歌声はいつ聴いてもトリハダものだし、でもなぜか、せつない。

 

久しぶりにレンタルレコード屋で借りてきたジャクソン5のアルバムジャケットを見ると、きれいにまん丸なお揃いアフロを披露している5人がそこにはいました。

そこで私の記憶がフラッシュバック!

実家の美容室においてあったアフロのウィッグ。
そして、小学生の頃「いやだ!」というのに、母親に無理矢理パーマをかけられ、地毛でソフトアフロだった私。笑

確実にこれはジャクソン5の影響・・・
と、思われる出来事が脳裏によみがえりました。

現在より情報の少なかった時代、しかも60年代から70年代に、北海道の田舎街まで彼らの人気が浸透していたのかと思うと、その人気はやはり凄まじかったのだと想像できますよね。

今でもこのヘアスタイルをしている若者を、たまに街で見かけることがありますが、なかなかなインパクトで、その唯一無二な感じが、私は今でも大好きです。

 

「アメリカのショウビジネス」という最も厳しい世界の中で幼い少年達がその波に埋もれず、しかも未だに世界中の人に愛され歌い継がれている楽曲を残すほどの偉大な存在になり得たのには、「ファミリーグループ」という切っても切れない血縁の強さがあったからではないのでしょうか?

 

愛くるしいマイケルに  I Want You Back! 

 

 

 

※ アポロシアター アマチュアナイト
まだまだ差別が激しかった1934年に「ニューヨークで黒人のエンターテイナーを唯一雇う劇場」としてオープン。
中でも、毎週水曜日に行われるアマチュアナイトはスターへの登竜門と言われ、現在でも人気のステージです。
これまでには、ジャクソン5、スティービー・ワンダーは勿論、ベン・E・キング、ジェームス・ブラウン、アレサ・フランクリン、ダイアナ・ロス、マーヴィン・ゲイ、ローリン・ヒルなど錚々たるメンバーを排出。

 

※ モータウン
自動車産業で知られるミシガン州デトロイト発祥のレコードレーベル。デトロイトに因んで「 Motor Town 」の略語でモータウンと名付けられる。
アフリカ系アメリカ人所有のレコードレーベルとして、ソウルミュージックやブラックミュージックを中心に大成功を納めた会社。

written byHEARTS / 田中直美