HEARTS/Double Bside

HEARTS
Double

Singalong

2021,06,10
雨の音楽


今年は全国的に、例年より早い梅雨入りとなっていますね。
みなさんは雨の日に聴きたくなる曲はありますか?
ブルーな気分を吹き飛ばしたい時、おうち時間をゆったりと過ごしたい時…

雨にまつわる名曲は数えきれないほどあります。
そして曲によって、思い浮かぶ雨の情景はさまざま。

日本の降水量は世界平均の2倍相当であり、
雨が多い日本には、情緒的で繊細な表現の雨の呼び名がたくさんあります。
一説によると400種類以上もあるとか。

という事で今回は、情緒溢れる雨の名前と共に
雨にまつわる名曲をご紹介したいと思います。
(個人的な解釈ですので、本来持つ曲の意味やメッセージなど、間違っていたらすみません。)




Cat Stevens - Morning Has Broken

慈雨(じう)…
干ばつを救い、草木を潤す恵みの雨



イギリスのシンガーソングライター、Cat Stevensの代表曲。
邦題は「雨にぬれた朝」と、少し憂鬱な印象ですが
この曲は賛美歌であり、曲調と歌詞の内容は美しく、雨がポジティブに描かれています。
一日の始まりにこの曲を聴くと、憂鬱な雨の日も清々しい気持ちでスタートできそうですね。

”Sweet the rain's new fall, sunlit from heaven
”新しく降る雨は優しく 天からの光に照らされ

Like the first dewfall on the first grass
生えたばかりの草に置かれた 最初の露のように

Praise for the sweetness of the wet garden
神が通り過ぎた場所にあらわれた

Sprung in completeness where his feet pass”
雨に濡れた庭園の甘美さを 讃えよう”

ちなみにこの曲の美しいピアノはイギリスのプログレバンド、
「Yes」のリック・ウェイクマンが弾いています。






Neil Sedaka - Laughter In The Rain

喜雨(きう)…日照り続きの後に降る喜びの雨
「雨喜び(あまよろこび)」とも


アメリカのシンガーソングライター、Neil Sedakaの1974年の作品です。
邦題は「雨に微笑みを」

“Ooo, I hear laughter in the rain
“ああ、雨の中に笑い声が聞こえる

Walking hand in hand with the one I love
愛する人と手を取り合って歩きながら 

Ooo, how I love the rainy days And the happy way I feel inside”
ああ、雨の日と この幸福感 なんて愛しいんだろう”

タイトルと歌詞だけでもすでに、優しくほっこりした情景が浮かびます。
ニール・セダカの、長く浮き沈みのあった音楽活動の中で
12年ぶりに全米1位を獲得した復活作品。

この曲には、キャロル・キングの名盤「つづれおり」にも参加していた、
ダニー・コーチマー、リーランド・スカラー、ラス・カンケルという
”ザ・セクション”のメンバーが参加しています。





Alzo - Looks Like Rain


翠雨(すいう)…青葉に降り注ぐ恵みの雨


アメリカ、ニューヨーク出身のアルゾ・フロンテのソロデビュー作、
「Looking For You」(1971年)に収録されている曲。
12弦ギターによる瑞々しいメロディーは、初夏の雨の日にぴったり。

このアルバムは、いろいろな経緯があり幻の名盤と化していたのですが、
アルバム名が「Alzo」と変わり、2003年に奇跡的にCD化が実現されました。

レコード会社のトラブルによりなかなか日の目を見る事ができなかった作品ですが、
いい音楽は時代が経っても色褪せません。





Karl Blau - Fallin Rain


天泣(てんきゅう)…空に雲がないのに降ってくる、細かい雨


アメリカ、ワシントン州アナコーテスを基盤に活動する
シンガーソングライター、カール・ブラウ。
キラキラと鳴る鈴の音(?)と、彼の穏やかでどこか儚げな声が心地よい曲です。

そもそもこの曲は、リンク・レイというアーティストの
カバー曲だという事をこのブログを書いていて知りました。
リンク・レイとは、インディアンをルーツに持つミュージシャンであり、
様々なアーティストに多大な影響を与えました。

ジミ・ヘンドリックス、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、
ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ピート・タウンゼント・・・
と、錚々たるアーティスト達が影響を認めているそうです。

昨年音楽ドキュメンタリーとして映画化もされていたので、
より深く知りたいという方は、ぜひご覧になってみてください。

”ランブル 〜音楽界を揺るがしたインディアンたち”

時代背景などを知った後でこの曲を聴くと、また違う聞こえ方がしてきます。





Jimi hendrix - Rainy Day, Dream Away 

叢雨(むらさめ)…ひとしきり激しく降り、やんではまた降る雨。
強くなったり弱くなったりを繰り返して降る。


Rainy day, dream away
雨の日、夢うつつに過ごす

Ah let the sun take a holiday
ああ、太陽に休暇を

Flowers bathe an’ ah see the children play
花々は水を浴び 子供達が遊んでいる

Lay back and groove on a rainy day
雨の日はリラックスして過ごすんだ

Lay back and dream on a rainy day
雨の日は横になって夢を見る

Lay back and groove on a rainy day
雨の日はのんびり過ごす


Dream awayって、夢が去ってしまうみたいな和訳だと思っていましたが
そうではなくて、「空想にふける、夢うつつで過ごす」という意味みたいですね。

ポジティブに、気楽に。
心地よい雨の日の過ごし方。






中谷美紀 - 雨だれ(Instrumental)

小糠雨(こぬかあめ)…
音を立てず静かに降る、糠のようなとても細かい雨。


幻想的なシンセサイザーの音、オルゴールのようなはかなさ、
”ポワァ”という、夢の中で波紋が広がるような不思議な音…
どことなく10ccの名曲、I’m not in loveを彷彿とさせる浮遊感があります。

そもそもの原曲は坂本龍一さんの「BTTB」(1998年発売)
というアルバムに収録されている、「Opus」という曲。
この曲に中谷美紀さんが歌詞をつけ、
坂本龍一さんがアレンジを加えプロデュースしたものが
「私生活」(1999年発売)というアルバムに収録されている「雨だれ」という曲。

”屋根裏の窓から覗いた街は 低く雲を垂れ 濡れている
いつもの朝の憂鬱 君にもわかるでしょう なんてね
雨だれの気まぐれリズムに誘われ 再び眠りに落ちてく
夢の隙間から差し込む光 触れるだけで 消えてく”

繊細で人形のような無機質なボーカル。冷たく美しいです。

そして、レーベル移籍後に発売したコンピレーションアルバムの
ボーナストラックとして収録されているのが、「雨だれ -Instrumental-」です。

この3曲、同じ曲調でも音の違いやボーカルの有り無しで、
浮かぶ情景が全然違ってくるのが不思議です。
ぜひ聴き比べてみてください。





Massive Attack - Protection

霖雨(りんう)…幾日も降り続く雨。


曲もPVもボーカルも、全てが最高にかっこいい曲。
雨にまつわる曲ではないかもしれませんが、
アウトロに向かって流れる
の音が、また心地良いです。



いかがでしたでしょうか?
やはり雨は情景が浮かびやすいのでしょうか、
調べてみて思いましたが、どのアーティストも1曲は
雨にまつわる曲をつくっている気がします。

まだまだたくさん、雨にまつわる名曲も
美しい雨の名前もありますが、今回はこの辺で。

素敵な音楽を聴いて、雨の日も心地よく過ごしましょう。


Written by Double SONS 松井正太♪