Weezer

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毎週、曲をひとつ選び、その曲にまつわるエピソードやその背景にあったファッション、ヘアスタイルを紹介するコンテンツ『This week music』
今週は特別にWeezerのフロントマンであるリバース・クオモについて語りながら何曲か紹介したいと思います。

オルタナティヴ、パワーポップブームの火付け役で、1992年アメリカロサンゼルスでリバース・クオモを中心として結成されたWeezerは、切なく内向的な歌詞のその作風から「泣き虫ロック」と揶揄されることもしばしば。
バンド名自体は「問題児」という意味で付けられているようですが、ここでいう「問題児」とは「不良」とか、強いイメージの問題児ではなく、「不登校」とか「いじめられっこ」とかちょっと根の暗い問題児を意味しています。まさしく神経質で気が小さいボーカル、リバース・クオモの事を言っているようです。

そんなフロントマン、リバース・クオモはアメリカ・コネチカット州の田舎町で育ち、18歳で突然ロックスターを夢見てLAに移り住みます。
が、そんな夢を持った少年にロスの町と音楽業界が甘いはずもなく、すぐに挫折。その後、フラれたことをきっかけ(笑)に作曲を本格化したという噂もありますが、紆余曲折を得て1992年にWeezerを結成。結成当初から注目度は高く、結成の翌年にはゲフィンレコード(NIRVANA、SONIC YOUTH、エアロスミスにガンズアンドローゼスなどが所属する名門レーベル)と契約に至るまでに。

そして今週紹介する1曲目『Udone-The Sweater Song』を含む1stアルバムWEEZER(通称ブルーアルバム)を発売。なんとこのデビューアルバムがグラミー賞、MTVビデオ・ミュージック・アワーズ賞を受賞、300万枚を売り上げる大ヒットアルバムとなるのです。

 

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そしてこの『Udone-The Sweater Song』のPVは映画監督スパイクジョーンズ(注)が制作ということもあって、瞬く間に有名になります。
注・スパイクジョーンズ:近年Weezerの他、ビョーク、ケミカルブラザーズ、ビースティーボーイズなどの数々のアーティストのPV制作のほか、映画「マルコヴィッチの穴」、「アダプテーション」「her」、「怪獣たちのいるところ」で監督を務めた監督

 

演奏中のバンドの間を突然犬が駆け回るという世界観が、なんとも不思議な様子ですが、よく見ると最初から最後まですごく細かに手が込んでいるのがわかります。ファンにとっては何度見ても面白く、当時、話題になったのも納得する内容です。そしてこのPV、なんといっても気になるのはリバース・クオモの格好。お世辞でもオシャレとは言えないウルトラマンのようなニットに、マッシュルームヘア。しかもその髪は寝癖のまま、ものすごくハネています。。。

これは、美容師的にかなり気になるところでありまして。。。(笑)
「わたしがカットすればもっと収まりのいいマッシュルームカットになるのに!!!」とか、「もうちょっと襟足の長さがあるほうがもっとかっこ良いよね」などと、突っ込みを入れながら観てしまうあたりは美容師あるあるですね。

ロックバンドでは珍しくオシャレに無頓着なWeezerメンバーですが、ひとつだけ、ファンが真似をするアイテムがあります。それは、リバース・クオモのトレードマークである太い黒縁メガネ。ファンの中では密かに「リバースメガネ」と呼ばれており、真似をしてかけている人も多いのです。

そして、リバース・クオモは、親日家としても有名です。
好きな食べ物は「梅干しとモスバーガー」と言うほど。
リバース・クオモの親日家ぶりはかなり以前からのようで、彼らの2ndアルバム「Pinkerton」からもその様子が伺えます。ジャケットには、浮世絵の歌川広重の東海道中五十三次の一幕を使用し、アルバムに収録されている曲「Across the Sea」は、日本の女性ファンからもらった手紙をもとに、その子への思いを綴った歌詞になっています。

 

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You are 18 year old girl

Who live in small city of Japan

And you heard me on the radio

About one year ago

And you wanted to know

All about me and my hobbies

My favorite food and my birthday

もうまさに日本のファンのための歌詞。さらにこの曲は、日本のライブでしか演奏されないため、日本人ファンの女子達は、自分の為だけにに歌ってくれている錯覚を起こしてしまいます。

 3rdアルバムにいたっては「Hash Pipe」のPVにおいて相撲の力士を登場たり、シングル「Dope Nose」のPVでは数々の日本を象徴する物を使っているため、日本文化にも詳しいことが伺えます。

 

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しかし、その後突然にアメリカのメディアにおいて日本を批判する発言をしており、この時期は来日時も取材を一切受けなくなり日本のファンは困惑します。さらに追い討ちをかけるように、日本では人気のあった2ndアルバムもアメリカではヒットしなかったため、リバースは商業的な失敗と内向的な楽曲が批判の的となり、Weezer自体も活動中止状態になります。その間、なぜかハーバード大学に入学。英文学士号を取得し2006年に卒業。その後、イトウキョウコさんという日本人女性と結婚し、日本嫌いだと思っていたファンを驚かせました。最近ではもはや日本人???といってもいいくらい日本に入り浸っているようです。

そしてこの頃から、ネガティヴで神経質だったリバース・クオモのイメージは一変しはじめます。雪の降る中行われた2005年のWeezer Japan tourのライブ中。ニコニコな笑顔を見せ、「元気?」とか「こんにちわ」とか日本語でMCをしたり、無邪気に飛び回って歌う姿まで見せたのです。

 どうした????

リバースが笑っている!!!

今までと全く別人では無いか???

あんなにニコニコしたリバース見たことない!!!

 いままでの「泣き虫ロック」とはほど遠いリバース・クオモの姿を見た私は、その姿に戸惑いを隠せず、嬉しいやら悲しいやら複雑な感情になったのを覚えています。それからというもの、リバースの日本人化は着々と進み、ライブではもちろん、今ではツイッターにまで日本語が使われるようになりました。近年は、兼ねてから親交のあったALLiSTERのスコット・マーフィーと「スコット&リバース」を結成。英語が苦手な日本人でも気軽に歌えるように、と二人で日本語の曲まで製作。歌詞はもちろん日本語。可愛い日本語で歌っています。

今後の活動が気になるWeezer、そしてスコット&リバースですが、青春時代に聴いた「泣き虫ロック」なWeezerが私はやっぱり大好きです。

   
江良友規子