The Police

The Police

The Police 「Every Breath You Take(邦題:見つめていたい)」

The Police はリードギター・ベース・ドラムスのみで構成されたいわゆる3ピースバンド。シンプルながら厚みのある音空間を創りあげていき、Rock史上最高のトライアングルと言われたバンドです。

1976年、元アニマルズのギタリストのアンディ・サマーズ(Andy Summers)、プログレッシブバンドで活動していたドラムのスチュアート・コープランド(Stewart Copeland)、ジャズバンドで活動していたヴォーカリストでありベーシスト、そして「 The Police 」の代表的なソングライターでもあるSting(本名ゴードン・マシュー・サマー)という、言ってみれば畑違いでそれぞれにキャリアのある3名が、元の活動をも忘れてしまう斬新な音楽性のバンドを結成します。その音楽性はロックの枠にレゲエの要素を加えたような性質でホワイトレゲエとしばしば呼ばれることもありました。

1978年 娼婦の事を歌った「Roxanne ロクサーヌ」でデビュー。

当時1970年代のイギリスはパンク全盛。セックスピストルズが放送禁止曲を連発した影響もありイギリス放送局は過剰に反応している中、彼らも例に漏れず、その歌詞の過激さゆえイギリス国内で放送禁止処分になってしまいます。しかし、そんなことには目もくれず、彼らの音楽活動は続き1983年、5ndアルバム Synchronicity を発表。

今回、お薦めしたい1曲は、このアルバムに収録された「Every Breath You Take(邦題:見つめていたい)」です。

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この曲にはちょっとした逸話が残っていて、なんとStingが就寝前のたった20分で書き上げた曲なんだそう。しかし、今やこの楽曲のセールスはThe Policeの全セールスの1/3を占め、リリースから30年経った今でも、この一曲だけで毎日約20万円の印税がStingに支払われているらしいです。その優しいメロディからラブソングとして当時海外では映画やドラマ、結婚式に使われたほどですが、実はこの曲Sting自身の離婚が絡んでいるストーカーソングなんです。
後にSting自身も「Every Breath You Take」の様な愛は間違いだと否定していて、「IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE」という曲まで書いたほど。

では、どういった歌詞の内容かというと・・・

Every breath you take
And every move you make
Every bond you break
Every step you take
I'll be watching you

お前が息づかいするたびに
お前が動くそのたびに
お前が絆を破るたび
お前が歩くその一歩ごと
俺はずっと見張ってるよ

曲の中で繰り返し使われるこのフレーズ・・・なかなか怖いですね・・・しかも曲の最後にはI'll be watching you(ずっと見ているからな…)を繰り返し歌っています・・・Stingよっぽどだったんでしょうかね・・・

HipHopの世界では、よく韻を踏むと言いますが、同時期に生まれたジャンルHipHopの要素もこの曲には取り入れられてます。

Every breath you take
And every move you make
Every bond you break
Every step you take

“take、make、break”“day、say、play、stay”

簡単な韻ほど音楽業界では避けられがちですが、韻を踏む事でメロディと歌詞がより頭の中に残ります。多種多様なジャンルの音楽性を柔軟に、そして上手に取り入れるSting。彼の秀逸さはメロディや歌詞のすばらしさだけじゃなく、そういった姿勢からも汲み取る事が出来ます。。

そしてもう一つ。この曲でStingがウッドベースを使ってるのはわかりますか?StingはJazzの要素もこの曲に取り入れているんです。ちなみにこの時の演奏についてジャズ界の大御所ベーシスト、ロン・カーターは「Stingのベースは最高だ」と言ったほど。彼からの評価は、Stingもかなり嬉しかったようです。

優しい曲調にこんな歌詞をはめ込んだり、HipHopの韻にJazzのウッドベース、レゲエとロックといったいくつものジャンルをバランスよく合わせたり、時には曲の裏に皮肉をちらつかせたりと、もはやRockという枠には収まりきれないバンド The Police 

その楽曲の内容からも、これからはポリスが音楽界を支配するとまで言われましたが、1984年1月にいきなり活動停止を宣言。世界中の音楽ファンの期待を裏切ることになりますが、のちに再結成と活動停止を何度か繰り返して現在に至ります。

年を重ねれば重ねる程、そのすばらしさを思い知らされる。まだまだこのバンドについて自分も十分に語れていませんが。いつの日か語れるように今夜も耳を育てていきたいと思います。

Double 中原章義