Led Zeppelin
1970年代を代表するイギリスの歴史的な大物ロックバンド、レッドツェッペリン。ロック好き、音楽好きで彼らを知らない人はまずいないでしょう。
Led Zeppelin を語るには、まずヤードバーズというバンドを語らなければなりません。
商業的に成功を収める事はなく、1962年に結成され1968年に自然消滅のように解散したヤードバーズ。その活動期間は短かったものの、エリック・クラプトン、ジェフ・ペック、そしてジミーペイジという、世界中のギタリストにとって神的存在の3人を輩出したバンドとして、伝説のバンドです。解散後ジミー・ペイジは、新しいメンバーを集めて、バンド名をニューヤードバーズとし、しばらく活動しますが、のちに改名したバンドが Led Zeppelinだったのです。
メンバー構成は4人。先に述べた世界3大ギタリストであり、バンドのリーダー兼プロデューサーのジミー・ペイジと、ハイトーンでパワフルなヴォーカル、そしてそのルックスから“ロックの美神”と呼ばれたロバート・プラント。様々な音楽雑誌で偉大なドラマーランキングで1位を獲得し、圧倒的なパワーで他者が絶対真似出来ないリズム感を持つジョン・ボーナム。そして、ベースのジョン・ポール・ジョーンズ。彼はプレーヤーとしての腕前は超一流。サウンド、アレンジ共にバンドの中心核です。何より、個性豊かな4人がしっかりまとまって演奏出来たのは彼の存在があったからこそ。
メンバー4人が4人共に唯一無二の存在のあるこのバンド。「誰一人欠けてもこのサウンドは生まれなかった」と、彼らは自身も語っています。
全世界で3億枚以上のアルバムを売り上げ、最も成功したロックバンドとしてその名をロック史に刻んでいる彼らのサウンドは、ブルース、ソウル、フォーク、民族音楽など様々な音楽要素を反映させ、独自の音楽を築いていており、解散から20年以上たった今でも、当時のライブ音源のCDをリリースすれば全米1位を獲得してしまうほど。
つまり、彼らは今もなお多くのロックファンを魅了し続けているのです。
今回ご紹介するのは、彼らの4枚目のアルバム「レッドツェッペリンⅣ」に収録されている、伝説的なヒット曲「Stairway to Heaven」(天国への階段)です。
アルバムの歌詞カードの中にメンバー4人のシンボルマークが記されている事から、通称「フォーシンボルズ」とも呼ばれていますが、実際は、タイトルの無いアルバムで、ジャケットにも一切文字が記されていません。
「Stairway to Heaven」は当時、音楽の方向性について悩んでいた彼らが、イギリスのヘッドリィ・グランジにて一ヶ月間の合宿中に制作したもので、彼らの再起のキッカケとなった曲。そして4人の絆を深めた曲でもあります。
このアルバムのジャケットの薪を背負った老人の絵は、ロバート・プラントが骨董屋で入手したものだそうですが、古いものが壊されて、新しいものが生まれる・・・そんな予感を与えてくれるジャケットだと、私には感じました。歌詞の内容としては「悪魔崇拝」や「麻薬賛美」「階級差別」など色々説がありますが、(作詞したロバート自身は否定している)そんな事はどうでもいいくらいメロディラインや演奏が素晴らしい曲です。
哀愁漂うジミー・ペイジのギターに始まり、美しいロバート・プラントの歌声、途中からエレキギターが開放的に響き、ドラムとベースが入ってどんどん歯切れがよく展開していきます。時間をかけてゆっくり高みに登っていく感じ、何回聞いても飽きない作品です。ハードロック、ヘヴィメタルが苦手な方でもこの曲からなら、スッと入れそうな気がするいわば入門編ともいえる1曲。ちなみに私もその一人で、この曲が、私の音楽の価値感を変えてくれました。
聴く音楽の幅が広がると、創るヘアスタイルの幅も広がるというのは、私達美容師の中でよく言われることですが、私も彼らの音楽をきっかけに、「カワイイ」よりも「カッコイイ」ヘアスタイルに惹かれるようになりました。そして知れば知る程、彼らの本質を追い求める姿勢に心が惹かれていきました。
当時の音楽業界のビジネススタイルといえば、まずシングル盤を売ってから、その勢いでアルバムを売るというもの。そしてその為にTV番組に出演したり、レコード会社に従うのが当たり前でした。あのビートルズや、ローリングストーンズもそうしていたようです。しかし彼らは、シングルの発売やそのビジネススタイルを否定し、マスメディアによるプロモーションも行わず、精力的にライブ活動を行い、アンダーグラウンドで絶大な支持を得ます。その結果、発表したアルバムが売れ続けたと言われています。そういうの、とてもかっこいい!
初来日は1971年。その際には、ステージ袖でアンコールの前にメンバー同士が殴り合いの喧嘩をしたり、宿泊していたホテルの掛け軸を刀で切ったりと、やんちゃなエピソードも残していますが、同年行われた広島公演の際には、平和記念資料館を訪れたメンバーは衝撃を受け「人間はここまで残酷な事をするのか。そこまで最低な生き物だとは認めたくない。二度と戦争を起こしてはいけない」と涙ながらに語り、ライブの売り上げ約700万円(当時)を全額、被爆者援護資金として寄付したそうです。
世の中の常識にとらわれず、自分たちの感性を信じて我が道を進んできた彼ら。その生き方が、かっこ良すぎます。
そして、彼らのファッションについても少し。
普段の彼らといえば、ジャストサイズのTシャツにブーツカットのボトム、スニーカーなど、いわゆる代表的な70年代ファッションでしたが、ステージ衣装だけはとにかく派手でした。
特に、バンドの顔であるロバート・プラントのステージ衣装は、ピタッとした細身のジーンズに、柄つきの女性物のブラウスをはだけさせるという感じのもの。当時のアマチュアギタリストの誰もが真似したがったそうですが、70年代のファッションは流行りつつある今でも「これはどうなんだろう・・?」と思っていたところ、当時のステージ衣装に対するロバートのコメントを発見!
「あのキツいブラウスねぇ!今、あれを本気でイイと思ったらビョーキだよ!」「でも、後悔はしていない。あの時はアレがイイと思っていたんだ!」
だそうです。笑
やりたい事を貫くこと。とてもステキなことですよね。個人的に、こういう大人のおじさま、大好きです。