BEREZA
季節が夏に近づくと聴きたくなるジャンル、ボサノバ。そんな折に音楽好きの先輩にオススメCDをいくつか借りて聞いたところ、私が好きになった曲を今回はご紹介しようと思います。
BEREZA 「One note samba」
BEREZA(ベレーザ)は、1995年にボサノバの創始者と言われているアントニオ・カルロス・ジョビンのトリビュートアルバム『ジョビンに捧ぐ』でデビューしたボサノバユニットです。
ユニット最大の魅力はやはり、このグループの歌姫であるガブリエラ・アンダース。
アルゼンチン出身で、ジャズサックス奏者の父親を持つ彼女は、幼い頃からクラッシックギターやピアノを習い、音楽に慣れ親しんできたそうです。透き通るようなシルキーボイスの持ち主でもあり、囁くようでもあり、ムードたっぷりな彼女の歌声は、一度聞くと彼女の世界に引き込まれる感覚にさせてくれる、と私は感じました。
そんな彼女の歌う「Samba De Uma Nota So」はすごく心地よい、お洒落な感じのメロディなのですが、実はちょっと変わった曲で、タイトルの意味を直訳すると「一つの音のサンバ」。その名の通り、イントロからずっとしばらく〝ソ〟の音しか使ってません。サビもほぼ、〝ソ〟のみです。これは、一つの音を、恋人に比喩した曲で、途中で他の音に浮気するけど、最後はまた元の音(元の恋人)に戻ってくるというユニークな曲。「浮気してもまた君のところにもどるよ」みたいな事を歌詞でも歌っています。
この曲自体は1958年にアントニオ・カルロス・ジョビンによって作曲された、ボサノバの中では有名な一曲なのですが、ボサノバというジャンルが産まれたのも実はこの頃なのです。「Bosa Nova」とは、ポルトガル語で「新しい感覚」、や「新しい傾向」という意味があり、リオ・デ・ジャネイロの海岸地区に住む中流階級の白人の学生やミュージシャン達によって伝統的なサンバをベースに、「新しい感覚」のサンバとして成立したそうです。
しかし現在のブラジルでは、若い世代が欧米のロックやポップスなどを好み、ボサノバは年齢層の高い人が聞くような、日本で言うと演歌のような位置付けになっているそうです。しかし、日本では2000年頃からのカフェブームで、カフェ店内で流す音楽としてジャズやボサノバが多く取り上げられた事などもあり、今になってボサノバの母国ブラジルよりも、日本の方がボサノバのファンが多いとも言われています。
そして日本のボサノバシンガーのファッションと言えば、涼しげなリネンのキャミソールのワンピースや、花柄や色鮮やかなトップスにロングスカート。ヘアはロングヘアーを無造作に揺らし、片耳には大きめのお花の髪飾り、みたいなイメージが強いですよね。ブラジルで産まれた音楽のファッションには、やはりその国の気候や、雰囲気が影響するんだなと再認識しました。だからボサノバ=夏というイメージが強いのも納得します。
もうすぐ梅雨にはいりますが、1日雨で外に出たくない日や、お家でゆっくり過ごしたい日など、BEREZAを聴いて過ごしてみてはいかがでしょうか。湿度も少し低く感じれるのでは?私、オススメです♪