John Lennon

John Lennon

John Lennon 「 ( Just Like ) Starting Over 」

言わずと知れたBEATLESのボーカル・ギター、ジョン・レノン。
BEATLESの解散後も、オノ・ヨーコと精力的に活動を行っていましたが、愛息ショーンの養育に専念する為に1976年に一度音楽活動を休止。もちろん、全く音楽活動をしなかったわけではなく、自宅で作曲活動は続けており、暇を見つけてはテープに録音していたそうです。

それから約5年後の1980年11月、ニューアルバム「 Double Fantasy 」を発表。この「Double Fantasy 」は、父として精神的な成長を遂げたジョン、5年もの長い間、彼の新曲を待たされた世界中のファンにとっても色々な想いが、詰まったアルバムでした。
今回は「 Double Fantasy」の発売に先立ってリリースされたシングル「 ( Just Like ) Starting Over 」をご紹介します。

 

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BEATLES時代においては、ヒットした曲の殆どがポール・マッカトニーの作品であり、ソロの時代になっても、ジョンよりポールの作品の方が売れていました。
ジョンの作る曲はメッセージ色が濃いものが多く、曲としてはクセがあったため、当時はポールの作品よりも万人に受けるものではなかったように思います。

そんななか、5年間の主夫生活を経て、満を持して発表した「 ( Just Like ) Starting Over 」。

歌詞の内容は、コテコテのラブソングなのですが、タイトルを直訳すると「 やり直す、再び始める 」の意味があり、このタイミングで発表するにはぴったりの曲。
発表後、多くの国でヒットチャート1位を獲得します。

楽曲も、もちろん素晴らしかったのですが、皮肉にもそれは、彼の突然の死を持って獲得した1位だったのです。
1980年 12月8日 ジョンレノン死去 

享年40歳でした。

事件当日の午前中、彼の住まいのあったダコタハウスで音楽雑誌「ローリングストーン」誌の表紙撮影が写真家アニー・リーボヴィッツにより行われていました。当初編集部はジョン一人での撮影を望んでいましたが、ジョンがヨーコと一緒の写真を強く希望したため急遽2人での表紙撮影に。撮影終了後に、スタジオへ入るためダコタハウスを後にする二人、待っていたファンに快くサインをするジョンの姿が写真に残されています。

22時50分、スタジオ作業を終えた二人のリムジンが、ダコタハウスの前に到着。
暗闇から、一人の男が『レノン?』と声をかけ呼び止めると同時に、ジョンへ拳銃で5発発射し、うち4発が命中。
ジョンは、すぐさま地元の警察によって病院へ送られますが、そのまま帰らぬ人となりました。
そして、その日の午前中、彼にサインをもらっていたファンこそが、この事件の犯人だったのです。


*2015年7月現在のダコタハウス

中学校の期末試験真っ最中にこの訃報を耳にした私が、これを理由に試験勉強を放棄したのは言うまでもありません。

自分としては、かなりのローテーションでBEATLESを聞いていた時期でもあり、「いつか再結成でもいいから、リアルタイムでビートルズが見れたらいいな!」という私の一縷の望みを消し去るには十分すぎるほどの出来事でした。

ちなみに、この「 Double Fantasy 」のジャケット撮影は親交の深かった写真家、篠山紀信氏によるもの。主夫生活を送っていた期間に、ジョンはたびたび日本を訪れており、その際のプライベートショットも多数、篠山氏の撮影により残されています。
このジャケットについて篠山氏は、「カラーで撮影したはずの写真ができあがってみたらモノクロに変更されていて、何かイヤな予感がした」とのちに語っています。

結局はこの「 Double Fantasy」がジョン・レノンの遺作となってしまいました。

ニューヨークのセントラルパークの一画にストロベリーフィールズと呼ばれる区画があります。この区画は、ジョンの死から5年後、45歳になっていたであろうジョンの誕生日に、ヨーコと当時のニューヨーク市長から捧げられたもの。
名前は、BEATLESの「 Strawberry Fields Forever 」からとられています。

もともとストロベーフィールズとは、彼らの故郷リバプール郊外にある孤児院の名前で、ジョンが子供の頃よく遊んでいた場所でもあったようです。今でも、毎年ジョンの誕生日や命日になるとたくさんのお花やメッセージで埋め尽くされることはもちろん、普段でも彼を偲ぶ多くのファンが訪れてはお花をたむけたり、お気に入りの彼の楽曲を演奏したりしています。

そして、このストロベリーフィールズを見下ろせるダコタハウスには、今でもヨーコが住んでいるようです。
マンハッタンの喧噪が嘘のように感じるこのストロベリーフィールズ。
ニューヨークを訪れた際は是非立ち寄ってみてほしい一画です。

 

田中直美