Radiohead
Radiohead
1985年、Talking Headsの曲名から命名し、1992年メジャーデビュー。
デビュー以降、その音楽性や行動から、ロックバンドというよりも音楽演奏集団と言うか、音楽オタクの集団と言った方が正しいかもしれません。
今回は、そんなレディオヘッドがブレイクするきっかけになった1stアルバム「Pablo Honey」に収録されている曲「Creep」を紹介します。
Radioheadのフロントマンといえば、いわずとしれたとトム・ヨーク。ダークな描写に人間の心理をついた歌詞が多く、さらには多彩な音楽性を持つ彼。
ときには問題発言も多く「ロックなんてゴミだ」と発言した際も、それを耳にした当時オアシスのリアム・ギャラガーから「ゴミはお前だ」などと言い返されたり、常に一挙手一投足が注目されている世界でも希有な存在です。
発売当時、Creepの歌詞にはF系の放送禁止用語が多く使われており、英語圏のラジオでは殆ど流れることはありませんでした。
その影響もあってか、まずは英語圏ではないイスラエルで人気に火がつき、その後、F系の放送禁止用語の部分を「Very」という単語に差し替えた事で、アメリカでヒット。最後に、彼らの本国であるイギリスでヒットしました。
それまでのロックシーンといえばニルヴァーナが一大ブームを巻き起こした影響で、自己嫌悪ソングのような、ネガティブを地で行くような曲が流行しておりBECKの「Loser」もその代表曲のひとつです。
しかしこの曲が、のちにトム・ヨークを苦しめ続ける事に。
LiveではCreepを聞くのが目的で訪れるお客ばかりで、なかなか他の曲には興味を持ってもらえず、さらには細い声が女性っぽいということで気持ち悪がれたり。
どの世界でもそうですが、メジャーでのし上がれば、のし上がるほど賞賛と批判は同じ分だけやってくるもの。
最終的にはタイトルでもあるCreep(気味が悪い奴)にちなんで、Creep野郎と自己嫌悪の代名詞みたいなレッテルまで貼られてしまい、ここから2年間、他にヒット曲も生まれず苦悩の日々を過ごすことに。
そしてついに1998年以降、ライブでCreepを演奏する事を一切やめてしまいます。
ファンの間ではCleepをLiveで聞く事はないと思われていましたが、それは意外なタイミングで、しかも日本で訪れました。
2003年、サマーソニックに出演しヘッドライナーを勤めたレディオヘッド。
演奏最後にトム・ヨークの Thank you Very Very Very 、、、というMCから聞こえはじめたイントロは、セットリストに入っていなかったCreepだったのです。
アンコールを許可した主催者側も驚きました。
止まらないオーディエンスの歓声。
雪崩のように動くモッシュピット。
歌い出しからの壮大なシンガロング。
会場に響くギターのディストーション。
いま、映像を見るだけでも事の重大さが伝わってきます。
歌い方はもちろん、トム・ヨークの表情やしぐさは思わず息を止めて見入ってしまうほど。僕の心にもダイレクトに突き刺さりました。
トム・ヨークのそれまでの数年間の色んな感情がそのまま歌に込められていたのでないでしょうか。それに神経質なイメージが強い彼らでしたが、感情を表に出しているところもとても意外で印象的でした。
「強く思えば必ず伝わる」
音楽に対するストイックな姿勢も素晴らしいと思いますが、何より人の心を動かすような仕事をしたい、そう思いました。レディオヘッド、また日本来てくれ!僕もシンガロングしたい!
と、来年のフェスに期待する中原でした。
Double 中原章義