Patti Smith
今回ご紹介するのはこの曲。
Patti Smith
「Because the Night」
この曲がうまれたのは1978年、ニューヨーク。
1970年代当時、ニューヨークという街はアーティストにとって最も寛大な街のひとつでした。
Patti Smithにかぎらず、後に有名になる数多くのアーティストが、この時代のニューヨークで活動を始めています。
「ろくに仕事はないが、家賃は安く、時間だけはたっぷりとある。」という背景をもとに、Patti Smith自身も数々の芸術家、ロックアーティストを生み出した「チェルシーホテル」でジャニス・ジョプリン、ジミ・ヘンドリックス、ジム・キャロルやR•E•Mなどとも交流を結び、サムシェパードとは一時期恋愛関係にもなるゴージャスな青春時代をこの時代に過ごします。また、海をへだてた当時イギリスでは、セックスピストルズが台頭しはじめ、鋲を打った革ジャンや、引き裂かれたTシャツやジーンズ、安全ピン、逆立てた髪など、ヴィヴィアンウエストウッド等に代表される、いわゆるパンクファッションが大流行しはじめ、かたや、ニューヨークではPatti Smithをはじめとした、テレヴィジョン、ラモーンズ、トーキングヘッズなどが台頭しはじめ、彼らの作るパンクはニューヨークパンクと呼ばれるようになります。
『クイーン・オブ・パンク』、『ゴットマザー・オブ・パンク』とも言われ、今もなお活躍しているアメリカ人女性アーティスト、Patti Smith。先述したように1970年代のロックスターはというと男性が多く、ましてやロックよりも過激なパンクというジャンルに至っては、女性アーティストとして世界的にも希有な存在でした。
過激な歌い方に過激な歌詞、それなのに美声年風の中性的なルックス。
特にその激しい歌い方は1980年代以降に多く登場した女性ロックシンガーの元祖と呼ばれ、1990年代以降もREM,Sonic Youth,などの数々のミュージシャンに影響を与えた存在としても知られています。そして、今回ご紹介するBecause the Nightは『Easter』というアルバムに収録されており、Patti Smithの一番有名な曲と言ってもいいと思います。パンクというよりロックに近いこの曲。デビュー曲の『Horses』に見られるような男性的な感じよりも、パティ自身の女性としての繊細さや女性としての信念が垣間見ることのできる曲です。
美しいピアノのイントロと、しっとりとした歌い出し、、、
もう、何度聴いたか分からないくらい聴きましたが、「今すぐ抱いて、私を理解して」と、歌うこの曲。
もちろん、若かりし頃の私はそんなに深いラブソングだなんて知らずに聴いてました。(笑)また、Pattiは当時のミュージシャンの多くがそうであったように、ファッションアイコンとしても様々な影響を与え、時代を超え、まさに私も影響を受けた一人です。
すべてがかっこよく見えました。
男性なのか女性なのかわからないクロスジェンダーな佇まい。
メンズライクなシャツにネクタイ、
肩にかけたジャケット、
ボサボサなのにかっこよく見えるウルフカット
「なんてお洒落でかっこいいんだ。。。。」
初めて見た時のにそんな衝撃は今でも忘れられません。
今では、あまり聞かなくなってしまった文化 “ジャケ買い” 。そんな“ジャケ買い”をしたのもこのアルバムが初めてで、ずっと部屋に飾っていました。
そして念願の生ライブを見たのは2009年のフジロックフェスティバルにて。歌詞や細かいメッセージはわからなくとも、パティの強くしなやかで激しい歌い方には心を揺さぶる物があり、訴える物を感じました。
なにか自分の中に熱いものを感じたい人は、まず聴いて、そして感じてほしいです。私のこの熱い気持ちがわからなくともきっと伝わる物があるはずです。