David Bowie

David Bowie

Gram Rock  (グラムロック)とはGramorous(魅力に満ちた、魅惑的な)の略語。さらに、きらびやかで艶かしく、時にはケバケバしい化粧や衣装を身にまとい、中性的な人物が歌うロックミュージックである。

世界中が日々目まぐるしく揺れ動き、変化していた1960年代後半から1970年代前半~中盤にかけて、主にイギリスを中心にグラムロックは大流行。スインギング・ロンドンやヒッピーに代表されるフラワームーブメントの流れもあり、自然回帰寄りの反動として人工的とも言える相反するものへの興味が生じ、この流れに至ったのではと言われています。

 今回は、そのグラムロックの代表と言っても過言ではないアーティスト、
David Bowie「 Ziggy Stardust 」を紹介します。

アルバムの原題 「 The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars 」

1972年に発表されたこの曲は、自身5作目となる当時ではあまり例を見ないコンセプトアルバムの中に収録されています。デビット本人がジギー・スターダストなる異星からやってきた架空のロックスターに扮し、この人物の成功から没落を描いた作品で、「スパイダース・フロム・マーズ」というバンドを率い、1年半におよぶ世界ツアーまで行っています。

 この1枚に1人のミュージシャンの成功から没落までが描かれている小説のようなストーリー仕掛けになっていて、その中でもタイトルトラックとなる曲、Ziggy Stardust は彼の生涯を説明したもの。

 [ あるところにギターのうまい奴がいて、バンドを組みスターにのし上がったが、いつしか自分のことを神と錯覚しファンやバンドからも放り出されてしまうという自虐的なストーリー。]

 ジギー扮するデビット・ボウイは、赤く尖った髪にブルーのカラーコンタクト、顔にはメイクアップを施し歌舞伎を想像させる東洋的な衣装を身にまといステージに登場します。

(この時の衣装は日本のデザイナー山本寛斎、スチール写真は鋤田正義の撮影によるものということは有名な話。)

彼の登場に世間は、「 男か女かわからない、それどころか地球人か宇宙人なのかも分からない 」といった感じだったようです。

綿密に計画されたこのプロジェクトも1973年、イギリスでの公演を最後にジギー・スターダストの名とともに永遠に葬り去られることになりますがこの一連の活動でデビット・ボウイ本人はグラムロックのミュージシャンとして、不動の人気を確立することになります。

このブームに影響を受けたミュージシャンも少なくなく、当時はあのローリング・ストーンズも濃いメイクを施していました。日本では、沢田研二や忌野清志郎、坂本龍一(YMO)、一風堂の土屋昌己( JAPANというバンドで、デビット・シルビアンと共演。)、サディスティック・ミカ・バンドなんかもそうでしたね。私はと言いますと、そんな大人達をブラウン管の中に見て本当に男なのか女なのか分からない状況でした。

 

このグラムロック、先にも書いたようにその見た目から判別され、はっきり言って音楽的志向に共通点はほとんどないようで、他に代表されるアーティストといえば T・レックスのマーク・ボランやロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーなんかが有名。

その風貌からフレディ・マーキュリー率いるクイーンも、同じ括りにされていたみたいですが。。まあ実際のところフレディはゲイだったのであながち間違いでもなさそうなところもありますが・・・ざっと挙げてみても音楽的共通点はないように思います。

もともとマルチな才能を発揮していたデビット・ボウイ。音楽活動だけに留まらず俳優としても名を馳せ、大島渚監督の戦場のメリークリスマスにも出演し、日本のアーティスト達とも何かと縁がある人物です。

 余談ですがこの映画で共演した坂本龍一が映画のために作曲した「メリー・クリスマス ミスターローレンス」、先にも述べているデビット・シルビアンがヴォーカル・バージョンを発表しています。
繋がってますね。

 
田中直美