2016,07,02
Cocteau Twins
「Pandora」
Cocteau Twins
1979年、スコットランド・グランジマスにて結成され、イギリスのインディ・レーベルである「4AD」よりデビューしました。
ヴォーカルのエリザベス・フレイザーは「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」にも選ばれています。
※Q誌とは、イギリスの一般的な音楽雑誌。Q誌によって付けられたレビューは音楽業界内外において、多大な影響力を持っています
デビュー当初は、Joy Divisionの影響を感じさせるような少し影のあるポストパンクバンドでしたが、アルバムがヒットしていく事でその影は少しずつ薄れ、美しさと浮遊感のあるサウンドに変化していきました。Cocteau Twinsの曲が世間に知られていくことでドリームポップというジャンルは確立され始め、さらにそこから派生したシューゲイザーと合わせて、のちに活躍したアーティストも多大な影響を受ける事になります。
そして1984年にサードアルバム「Treasure」をリリースし、その美しい耽美感はピークへと向かいました。この儚く神秘的なアルバムは、4ADというレーベルに耽美というイメージを決定づける名盤となりました。T
アルバムのジャケットデザインも美しく、世界観づくりを徹底している事でも有名。このTreasureというアルバムの曲名も、全て伝説上の神々の名前で統一しているそうです。
今回はこのアルバムの中から特に幻想的で、夢の中にいるような感覚にさせてくれる曲「Pandora」をご紹介します。
エリザベス・フレイザーの澄んだ歌声は「天使の歌声」と称されており、その美しい歌声が存分に発揮された曲「Pandora」。低音から高音までの音域が幅広く、時に独特なビブラートを響かせ聴く人を独自の世界へ誘います。
何を歌っているか判読しがたい歌い方と歌詞が、その神秘性を際立たせるのに一役かっており、ファンの間では「エリザベス語」とも呼ばれるほど。「エリザベス語」の解読・翻訳専門サイトまで開設されています。
そしてこの歌い方、実はGlossolaliaという手法で、難解で無意味な音声発話という意味と、キリスト教の歴史の中でお祈りをする時の為に生み出された神の言葉という意味もあるそうです。
先ほどTreasureのジャケットデザインについて触れましたが、昔からかっこいいアルバムジャケットが好きで、それだけでCDを集めていました。Cocteau Twinsを知るきっかけになったのも実はジャケットデザインからでした。
Massive AttackのMEZZANINEも、ジャケットの アートワークが衝撃的でろくに試聴もせずに買う、いわゆる”ジャケ買い”で買ったアルバムです。
*この写真を撮影したのはNick Knight。Yohji Yamamoto、Alexander McQueen、Bjork等の作品を手がけるフォトグラファー
アルバムは全体的に重く気怠いトーンの曲が中心ですが、その中に1曲だけ美しく透き通った歌声が印象的なTeardropという曲があり、ずっと耳に残っていました。調べていくうちにたどり着いたのがエリザベス・フレイザー。つまりはCocteau Twinsのボーカルだったのです。
この時からすでに、エリザベス語に魅了されていたのかもしれません。
もちろんCocteau Twinsのジャケットデザインは秀逸です。
彼らが確立したドリームポップやシューゲイザーというジャンルのバンドが作成したアルバムジャケットは大概、ぼやけたような淡い色彩のものや飾り気のない殺風景なデザインが多いのですが、これもまたCocteau Twinsの影響が大きいのかもしれません。
最近にわかにまた、ドリームポップやシューゲイザーといったジャンルのバンドに注目が集まってきています。
Cocteau Twins然り、音楽の流行が一周すると新鮮さを感じるように、ヘアスタイルもまた、音楽と繋がって流行が回ってきます。
90年代のエリザベス・フレイザー。今見ても色褪せないヘアスタイル。
音楽のルーツを探ってオリジナルを知ると、ヘアスタイルやファッションの新しい発見があります。
やはり、美容師にとって音楽はかかせないものなんです。