2016,10,15
THE BLUE HEARTS
「人にやさしく」
言わずと知れた伝説のJAPANESE ROCK BAND 「ブルーハーツ」
20代、30代、40代、50代・・・
知っているだけの人、聞いたことがある人、大好きな人・・・
もちろん僕もブルーハーツが「大好きな人」のひとりです。
「俺の方がもっと好き」「俺に語らせろ」そういう方もたくさんいると思うのですが、今日だけは僕にも少しだけ語らせてください。
初めて聞いたのはたしか昭和62年、僕が小学校6年の時でした。
きっかけは、鹿児島のローカル放送局から流れるブルーハーツの全国ツアー「ドブネズミ・ツアー」のテレビCM。そのCMはモノクロのLIVE映像で、ヒロトが圧倒的なパフォーマンスでリンダリンダを歌っており、この画に衝撃を受けすぐさまのめり込むことに。
中学生になった僕は、当時のバンドブームにのっかって、バンドもはじめました。(もちろんモテタクテ・・・)
当時のバンド雑誌「PATI-PATI」(2013年休刊)「BANDやろうぜ」(2004年廃刊)を読み、スコアを買ってはスタジオに入り自己満の練習。そして自己満のLIVE。
そんななか、中学3年の時にアルバム「TRAIN-TRAIN」を中心とした全国ツアー「ON TOUR 89 」がはじまります。
これは、絶対行くしかない・・・
他のアーティストでもそうですが、中学生にとって「ブルーハーツのLIVEへ行く」ということはすごくハードルが高くなかなか勇気がいるものでした。 でも、カセットの向こう側でしか聞いたことのない人たちを、しかも田舎の鹿児島で観れる。それは夢のような話です。
(当時はYoutubeなんて存在しているはずもなく、またブルーハーツに限ってはテレビ出演も極端に少なかった)
LIVEがはじまる寸前まで、本当に本人たちはステージに現れるのか?と、もはや歴史上の人物かのように、自分の目で見るまでは信じられませんでした。
そして・・・
この時のLIVEは一生忘れられません。ヒロトの歌声は、荒々しく攻撃的でありながらもとても優しく、そして切ない。
その詩に至っては天才的です。
「友達ができた 話し合えるやつ」
「先生 三角定規じゃ はかれないものがあります」
「誰かのルールはいらない 誰かのモラルはいらない 学校もジュクもいらない 真実を握りしめたい」
「どうにもならない事なんてどうにでもなっていい事 先生たちは僕を不安にするけどそれほど大切な言葉はなかった」
「くそったれの世の中にションベンかけてやろう」
中学生という多感な時期にどれもこれも響いてくる数々の言葉。とにかく最高でした。
そして今回はそんな数々の名曲の中から「人にやさしく」を紹介したいと思います。
実はこの曲、ヒロトがブルーハーツ以前に組んでいたモッズバンド「THE COATS」時代の最後に作った曲で、当時の初期のタイトルは「がんばれのうた」。
ギターのマーシーは、この曲を聴いた瞬間に衝撃を受け、ヒロトにバンド結成を持ちかけたといわれています。
その後、ブルーハーツを1985年に結成、そして1987年に自主制作盤でシングルとして出しました。
歌や詩が言いたいことを理解するということは、すごく難しく、もしかしたらその理解しようという行為自体が愚かなのかもしれません。でも、この「人にやさしく」も含めブルーハーツの詩は、心の中にガツンと響いてきます。
出だしの「気が狂いそう」から 最後の「ガンバレ!!」
単純そして単細胞な中学生だった僕にも、「かっこいい!」「テンションが上がる応援ソングだ」「なんか大丈夫かも」と訳もわからずに元気と勇気が湧いてきたものです。
いま聴いたら、さすがにあの頃の初期衝動のようなものはありませんが、十二分に気持ちだけは盛り上がる。そう、元気になれるんです。
余談ですが、1988年頃?レナウンのCMソングに「人にやさしく」が起用されています。(CMナレーションは山瀬まみ)
当時「いけてるCMだなぁ」と思ったのを記憶しています。
そしてこちらがザ・コーツ時代の「人にやさしく」の原曲「がんばれのうた」。
とにかく個性あふれる4人ですが、とくに、ヒロトのヘアスタイルを含めたファッションセンスは突き抜けています。
モッズバンド、ザ・コーツの流れからなのか、パンクファッションの取り入れ方もモッズ的だったようで「革ジャン着るならschottじゃなきゃだめだよ」と言っていたり(ちなみに、今はルイスレザーのライトニングを着ています)胸にガイコツの入っているクリーム・ソーダのTシャツにライダースを合わせて着ていたり。
そのハズしのセンスが抜群で、とにかくお洒落でした。髪を短く切って金髪にしたり、ウルフっぽくしたりいまでは日本人でも当たり前のようになっていますが、当時はヘアカラーをするということはイコール白髪染め。つまりは、ヘアカラーがファッションの一部としてまだ認められていない時代だったので、ヒロトのヘアスタイルはかなりセンセーショナルでした。
でもいま見ても古臭くはないし、むしろスタイリッシュ。
最近、アメリカのミュージシャンボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞しましたが、甲本ヒロトも負けず劣らず、歌詞以外にも心に響くたくさんの言葉を残しています。
その中でも、 いまの自分に響いたこの言葉で今回は締めたいと思います。
「“楽しい”と”楽”は違うよ “楽しい”と”楽”は対極だよ
楽しいことがしたいんだったら 楽はしちゃダメだと思うよ
楽しようと思ったら 楽しいことはあきらめなきゃダメだね
ただ 生活は楽な方が絶対いいと思うよ でも人生は楽しい方がいいじゃん
生活は楽に 余計なことには気をとられず 人生は楽しく」
written by Double / 西村光太郎