HEARTS/Double Bside

HEARTS
Double

Singalong

2016,12,31
Beirut
「Nantes」

2016年も本日で終わり。
今年も一年HEARTS Doubleをお引き立て頂きありがとうございました。2016年はこの1曲で締めくくりたいと思います

Beirut 『Nantes』

 


どこかはわからない。
まるで異国のどこかにいるように感じる彼らの音楽。感じ方は人それぞれ。砂漠だったり、海辺の街だったり、東欧だったり、フランスの街並だったり・・・まるでロードムービーを観ているかのような音の重なり。

それもそのはず。
作詞作曲を担当しているボーカルのザック・コンドンは、子供の頃から楽器が大好きで、寝室はベッドの置き場もなくなるくらい楽器で溢れかえっていたとか。さらに15歳の頃に映画館で働いた経験があり、そこで流れる様々な映像や音楽に触れながら思春期を過ごしました。17歳になって高校を中退すると、旅先の東欧でバルカン音楽に出会い、その影響を受けながら音楽にどっぷりと浸かった生活を送っていたそうです。

そんな彼が演奏する楽器はトランペット、ユーフォニアム、オルガン、ピアノ、アコーディオン、マンダリン、パーカッション、ウクレレ・・・と演奏できる楽器は数知れず。恐るべき才能です。そして、ミュージシャンというと、なにか一つのバンドや一つの音楽との出会いがその後の音楽のルーツになりやすいものですが、彼においては多感な時期の彼自身の経験がルーツとなり、見た景色や匂いが彼の奏でる音となっています。

 


ザック・コンドンが19歳の時に宅録した音源を元に制作したデビューアルバムにて強烈な存在感を示した”Beiruit”は、当初ザック・コンドンのソロプロジェクトとして始まりましたが、現在はバンドの形を取っており、6人のメンバーで活動しています。
今回紹介する曲「Nantes」は2007年にリリースされた2枚目のアルバムに収録されており曲名にも使われているNantesとは、フランス西部ロワール川河畔に位置する街の名前で、中世の彩りが残る街並でも有名です。
曲自体もザック本人のフランスへの憧憬を色濃く感じる作品となっていてジャケットもとてもお洒落。

 

目を閉じると浮かんでくる石畳や美しい街並や、川縁に佇むカップル。心地よい音楽からは匂いや温度、情景、Beirutの「Nantes」からは時代を超えて昔の「Nantesの街並」が浮かんできます。

音と共に旅にでたい。

そんな衝動に駆られてしまうのはきっと私だけではないはず。

MVの製作も実際にパリの街で演奏しながら行われたそう。
監督はMV界の革命児と呼ばれているパリ出身の映像監督ヴィンセント・ムーン。Beirutの他にもR.E.Mやシガーロス,Bon Iver等、多くのアーティストのMVを製作しています。
生音にこだわるBeirutのサウンドと、最小限の演出でワンテイクの撮影スタイルにこだわるヴィンセント・ムーンとのコラボレーションは、”生”を大事にした仕上がり。

時には大きなゴミ箱がドラム代わりになったり、街の中に溶け込んで演奏しているメンバーはブラスバンドを思い起こすような雰囲気で聴くのはもちろん観ても楽しい作品に仕上がっています。

 

 

”こだわりをもってやる”

当たり前の事だけど、この「こだわりをもってやる」ということ。2017年もこだわりのある仕事できるかっこいい大人でありたいです。

本年もSingalongをご拝読頂きありがとうございました。2017年も引き続き楽しんでいただけるよう頑張ります。
そして2017年がみなさまにとって素晴らしい一年になりますように☆

 

 written by Double 内田由美